いつもは実乃梨ちゃん、社長より私の見方をしてくれていたのに

今回は、社長の味方なのか。


いや、別に敵味方とかそういう問題ではないのだけど…。



「社長、変なこと言わないでください」


そう言って、新しいサンドイッチを食べ始めた。



実乃梨ちゃんの質問は、どうしても答えられなかった。


それは、私が社長のことを好きになりかけてるのは、自分でも気づいていたから。

でも、叶わないとわかっていて悲しい思いもしたくない。


だから私は、この気持ちを気づかないフリをして自分の気持ちに蓋をしたのだ。



「みぃちゃん、好きなのー?こぉちゃんのこと!!

実乃梨は、こぉちゃんのこともみぃちゃんのこともだーい好きだよ!!」


なんて、可愛い笑顔で言われて癒された。



「そっか、ありがとう!

私も実乃梨ちゃんのこと、大好きだよ」


と、言ってサンドイッチをかじると

横から社長が



「実乃梨ちゃん、俺も実乃梨ちゃんのこと大好きだからね?

そして、深崎は俺のこと好き?」


……この人、上司じゃなかったら

今すぐ引っぱたいていた。




「ほんとにいい加減にしてください。
悪ふざけも度が過ぎますよ、社長」


至って冷静に振舞っていたが、内心ドキドキしっぱなしで落ち着きがなかった。


どうか社長に、このことがバレませんように。


「……あっそ」


社長はそう言って、拗ねたようにおにぎりをモグモグと黙って食べ続けていた。