私は言われた通り、渡されたカクテルを一口飲む。


口の中に広がるカクテルの味。



「社長…」


「なんだ?」


「これ、隣にいる彼女に呑ませようとしたカクテルでは…」



そうだ、隣にいる彼女にあげようとしてたんじゃないのか。


さっきから、すんごい目付きで睨まれてますけど、私…。



「あ?あぁ…お前、もう帰れ。
そしてもう会うことはないから、じゃあな」



……な、何してるの?この人!!!


「ちょっと、聖くん?どういうこと?」


「言葉の通りだ、さっさと失せろ」


そう言った社長の言葉を聞いて彼女は、怒りながら帰っていった。



「ってことだから、これ、お前にあげるために注文したし

あいつ、俺の彼女じゃない」



……女ったらしなんだ、社長。


会社では、優しくてイケメンということで

女子社員にも男性社員にも人気な社長が

女ったらしだったとは…



「こんな社長、社員が見たら幻滅してしまいますよ」


「大丈夫、お前にしか見せないから」



そう言って社長は立ち上がり、私を引っ張ってお店を後にした。


きっと、これからホテルか社長の家に連れ込まれるのだろう。



私は、黙って社長について行った。