今朝、実乃梨ちゃんを保育園に預けて出社して社長室に行くと

俺の秘書の遠塚 紫苑(トウツカ シオン)が険しい顔で社長室に入ってきた。


こいつがノックもしないで入ってくるほど焦ってる様子は珍しく、俺はびっくりした。



「遠塚、どうした?そんな慌てて」

「社長、おはようございます。

実は、妙な噂が会社中広まってまして」



妙な噂?

は?妙な噂ってなんだよ。


どうせ、社内恋愛のどったらとか

そんな話しだろ。



なんて、俺は内容を聞くまで興味がなかった。



「噂なのですが、社長に隠し子がいるのではないか。と、会社中持ち切りでして」


は?隠し子?


確か、深崎にも聞かれたことあったな。



「そんなわけねぇだろ」


「ですが、女子社員が見たそうなんです」


見たって何をだ。


俺は黙って聞くことにした。



「今朝、社長が子供を保育園に連れていくところを見た社員がいまして

社長の顔は幸せそうだったと」



……あ〜、実乃梨ちゃんを送っていったときのことか。


確かに、幸せな気分だった。

実乃梨ちゃんの言葉を聞いたときに。


多分、そのときに女子社員は見たんだろうな。