あれから2時間が経過していた。


もう、17時か。

そろそろ1回起こして、保育園の場所を聞き出そうと思ったとき

深崎が起きてきた。



「社長、ご迷惑おかけしました」


「いや、気にするな。

それより、保育園はどこだ?

そろそろ迎えに行こうかと思ってたのだが」


そう俺が言うと深崎は、焦りながら



「そんな!!これ以上、ご迷惑かけることなんてできませんので、気にしないでください」


なんて言う深崎を俺は、不覚にも可愛いと思ってしまった。

こんなときに可愛いなんて思うことは、おかしいだろうか?


でも、可愛いと思ってしまったのだから仕方がない。



「深崎、もう少し人に甘えろよ」


俺はそう言って、彼女を抱きしめた。



こいつは、どれくらい1人で抱え込んでいたのだろうか。


こんな小さな体で、どれだけ…



「社長…」


弱々しく呟く深崎に俺は



「社長命令だ、今日から1ヶ月

俺の家で暮らすこと。いいな?」



職権乱用もいいとこだろう。


でも、こうでもしないとこいつは

俺に甘えることはしないだろうから。


「職権乱用しないでくださいよ、もう」


と、少しだけ笑いながら言ってくる深崎。

それに、少しだけホッとした。