博海から逃げるように立ち去ってから、私はずっと無言だった。


聖さんは、優しいからか何も聞いてこない。



そんな私たちは今、聖さんの家で無言でいた。


先に喋り出したのは聖さん。



「今日、夜ご飯は外食にするか~」


ほんとは聞きたいくせに、私に気を使ってくれてるのか夜ご飯の話しを持ち出してくる聖さん。


そんなところも好き。



「聖さん、聞いてこないんですね」


「ん?聞いていいのか?

俺が聞いて、辛い思いするのは智美だ。
そんなの嫌だから聞かなかったが」


聖さん…!!



「ありがとうございます!

でも、一応話しとかないといけないかなって思うんです。

だから、聞いてもらってもいいですか?」


「智美がそう言うなら聞く」



聖さんの優しさが、改めて気づくけど

私はその優しさに甘えてばかり。


これは、私が1人でなんとかしないと。



そう思いながら博海とのことをゆっくり話し始めた。