「まったく、お父さんも冬馬も黙ってたなんて酷いよね」


「姉貴、親父の気持ちも考えろよ」



私は今、冬馬と買い物の帰り。

冬馬とこんなに2人で話すなんて、久しぶり。

いつぶりだろうか。



「わかってるよ。

私のこと考えて黙っててくれた。
それくらい、冬馬に言われなくたってわかってるんだから」



わかってるよ?


でも、やっぱり私だけが知らなかったことに納得がいかないんだもん。



「それに、聖さんだってこんなときに仕事の話し持ち出して

お父さんと何を話してるんだか」



普通、こんなときに仕事の話し持ち込む?


いや、聖さんだからこそ

タイミング逃さないようにどんな時だって

仕事の話しを持ち出すだろう。



だからって、彼女の家のことで話し合ってるのにそんな時でも?って思うけど。


まず、こんなときに仕事の話しってなんの話しなわけー!!!



「まぁ、姉貴の気持ちもわかるけど。

てか、あの人のことほんとに好きなわけ?」


そういえば、なんとなく気づいてたけど

冬馬は聖さんを良く思ってなかったんだっけ。


改めて言葉にされると、悲しくなる。



「そりゃあ、ね。
じゃないと、付き合ってないって」


「俺、あの人嫌い。

どうせ、博海さんと同じ人だと思うけど」



博海っていうのは、私の元彼。


付き合って3年。

結婚も考えどきってときに浮気が発覚して、私は捨てられたんだ。


それからかな、クラブで遊ぶようになったのは。



そんなときに立ち寄ったBARで、聖さんと会い今に至る。


嫌なこと、思い出しちゃった。