【望saide】
『お前と付き合いたい。返事はいつでもいい』

たった今、俺は告白した。

前でゆでダコみたいに真っ赤になって俯いてるのが俺の好きなやつ。


「まだ、先輩のことあまり知らないので……」


お友達からか。まぁいいけどな。どうせ俺のもんになるから。

『だから、返事はまだいい』



俺がこの子を好きになったのは入学式のとき。

「あの!体育館ってどこですか?」

この時もゆでダコみたいに真っ赤になりながら話しかけてきて緊張してるんだなぁって思った。

その時はそれだけだった。


『あぁ、新入生か。校舎のとなりだよ』


「ありがとうごさいます!!」

この笑顔で絶対俺のもんにしてやるって思った。

その時はなんでそんなこと思ったか分からないけど。



「藤井先輩!!」

あ、またゆでダコになってる。

『なんだ』

「今日の放課後お話があるんですけど…」

『わかった。体育館裏でまってる』

「はい!」

あ、今の顔かわいい。

もう、まただ。女を可愛いなんて思ったことはそうそうないのに。

「お前告白したのか?」

『なんでわかんだよ』

「顔に書いてあるから」

『うそつけ、どうせ盗み見てたんだろ?』

「バレてしまったか」

バツが悪そうに舌を出しているこいつはチビっちゃい頃からの大親友の桐山大毅(きりやまだいき)

まぁ幼馴染ってやつだ。

絡み方はうざいけど、いざとなったら信頼できるのはこいつしかいない。

『で、告白したらなんだっていうんだよ』

「協力、してあげてもいいよ!」

『別にいい』
「なんでだよ。お前はいっつもそうだよな」

『あ?』

「いっつも1人で抱え込んで、たまには頼って
くれてもいいのによ」

なんで拗ねんだよ。

頼ってるつもりなのにな。

『別にお前が頼りねーって事じゃねーよ』

「じゃあなに?」

『はぁ、もうダルいな』

『恋バナとか幼馴染にするとかさむいだろ』

「さむくねーよ。むしろうれしいわ!!」

はぁ...まじかよ。めんどくせーな。

「その子と最近話してんの?」

『あぁ、話があるって言われて』

「今日?」

『おう』

「何言われるんだろーな」

『しらね』

「お前、いつでもどこでも無愛想なんだから話す時くらいは笑顔でいろよ!」

『やってるつもりだわ』

「つもり!でしょ?」

『わかった、わかった、やるよ』

「うん!それでこそ俺の親友だ!」

なんやかんやであいつはお節介が過ぎるからな。

まぁそこがいい所なんだよな。