「酒だぁ、次の酒はないんかー。
もう終わりかぁー」
ったく、酒・酒・酒って、そればっか。
「はぁーい。
今、持っていきます」
私は慌てて、次のお酒を用意して、
役立たずの隊士たちにお酌してまわる。
無駄飯食らいの大酒呑みなんて大嫌い。
なんで同じことしか繰り返させないのよ。
一息ついたところで、
「舞、お疲れ様」っと花桜が声をかけてきた。
「花桜もお疲れ」
「ホント、外の天気は悪いには悪いけど、
雨でも隊を動かせばいいのに。
いつまで、こんなことしてるんだろう」
花桜も思ってることは同じかぁー。
「あいつは?」
この酒の席に姿を見せてない、
もう一人の存在。
「あぁ、今から様子見に行くところ。
敬里、別室で休んでるよ。
咳だけの風邪、雨に打たれたからか悪化させて、
熱出てさ。
手拭いで体冷やしながら、休ませてる」
「あちゃー。
ホント、敬里も馬鹿だねー」
「あっ、今、舞のおむすびも作ったからさ、
お腹空いてたら食べて。
私は今から、敬里のところに食事運んでくるよ。
汗かいてるから、水分取らせないといけないだろうし」
そう言いながら花桜は、私の前を通過していく。
そんな花桜を見送って私はお酒に酔って潰れてひっくり返ってる人たちの間を歩いて、
民家の外へと出た。
降り続けていた雨は少し上がっていて、
冷たい空気と共に、湿気を運んでくる。
そんな外の空気を吸いながら、大きく伸びをして愛刀に手を伸ばす。
少しは体を動かさないと、やってられない。
愛刀を抜いて素振りを続ける時間。
ただ無心に刀を振るいながら、自分の心の中を整頓する。
私はこの世界で何をしたいの?
昔の私は、この世界で何を遣り残してきたの?



