「熱、まだ高そうだね。
 向こうの解熱剤でもあれば、多少は早く下がるのかな。

 額の手拭い、新しくしてあげるよ」

そう言って、手拭いをとると桶にしたくされた水に浸して、
固く絞るともう一度、その額へと戻す。

「サンキュー。舞。
 あと、花桜頼むわ。オレ、今はもう少し眠るよ」

そう言うと、アイツは再び目を閉じて、眠りの中へと誘われていった。


敬里の熱が下がって医学所を出られたのは四日後。

四日後、アイツは私たちが住む長屋ではなく、
近藤さんや土方さんたちがいる場所へと向かい、
時折、斎藤さんと共に長屋を訪ねてくる。

そんな生活が続いた。


私と花桜は長屋の人たちと仲良くなりながら、
今過ごす、僅かな平和が長く続くように祈りながら、
江戸での日々を過ごし続けていた。