幕末から現代に来て、記憶を失くした男。
山崎丞。


彼は歴史の中では、あの場所で亡くなったとされる存在。

死した存在が、現代で命をつなぎとめた今の状況は、
歴史に影響が出てるのか、出ていないのか……。



敬里が沖田総司として幕末にいって、
結核を患ってた総司が敬里として現代へと来た今、
幕末の沖田総司の結核を患った歴史はどうなってしまったのか。



そんなことを考えるようになってしまったから。
鏡に映し出さない、もう一つの歴史はどんな風になってしまっているのか。



そしてその歪みは、私も総司も、そして今は記憶がない山崎さんも、
受け止めなければいけない課題だと思えるから。


そんな思いと共に、借りた本を鞄へといれて、
再び、総司の待つ病院へと足を急がせた。