背後で真っ二つに裂けた杉。
周囲には焦げ臭さが残っているものの、私のその落雷の周辺を目を凝らしてみる。


あの落雷で、向こうから総司みたいに誰かが来たんじゃないかって僅かな期待を込めて。
視線の先には、その木の下で誰かが倒れているような気がする。

慌ててその場所に向かって近づくと、そこには薄汚れた包帯で巻かれた見慣れた人が倒れていた。


「山崎さん?」


どうしてって言う意味合いを含んで呟いた名前。

誰かに来て欲しい、山崎さんに来て欲しいって言う思いはあったけど、
だけど本当に帰ってきて欲しいのは、花桜や舞。

でも今、ここにいるのは死んだと言われている山崎さんの存在だった。


あっ、状況を確認しなきゃ。


我に返って、すぐに山崎さんに駆け寄ると水葬で弔われたはずの山崎さんは、
弱々しいながらも脈が感じられた。




えっ?
生きてる?

山崎さんは、あの場所で亡くなったんじゃないの?



花桜の為に生きてて欲しい。
そう望んだのは私。