ぐるぐると布が巻かれた体を板に括り付けられて、
その先には砲丸が取り付けられた何人かの遺体。


その中の何処かに、つい先ほどまで一緒にいた丞が眠ってる。


半ば強引に引き離されてから、私は何をすることも出来ず、
ずっと丞が眠っていたその場所から動くことが出来ないでいた。


今この場所に私が立つことが出来るのは、
舞が迎えに来てくれたから。


今からこの船の中で行われるのは、海軍で伝えられる水葬と言う弔い。


だけど私に馴染みのない水葬は、
この後に続く別れの儀式がどんなものになるのかすらわからなかった。



近藤さんがこの戦いで亡くなった人に向けての弔辞らしきものを
話しているのが聞こえる。



すすり泣く隊士たちの声が聞こえる中、
耳につくのは空砲の音。



天気が崩れ始めた空に届く空砲の音が響くと、
何人かの隊士たちが動き出して、板にくくりつけた遺体を何処かへと運んでいく。


そして板は滑り台のようなところから、海へと落とされていく。