大坂から逃げるように船に乗り込んで離れた私たちは、
横浜、品川を目指して海原を進めていた。


慣れない船旅に、船室は船酔い人と傷病者でごったかえしていた。
そんな船室から離れて、私は一人甲板へと出て、海風に体を委ねる。


やっぱり中より、外の方が気持ちいい。
風にあたりすぎると体を冷やしてしまうかもしれないけど、
今はここでボーっと風にあたりながら過ごしていたい。


覚悟は決めた。
もう一人の舞ちゃんの存在を受け止めて、
私的には覚悟を決めた。


だけど……その覚悟を貫くために、巻き込んでしまった友たち。
多分、沖田さんと一緒に私たちが過ごしていた時代へと帰った瑠花。


この世界に来て、大切な山南さんの切腹を見届けて、そして今、
この船の中で愛しい山崎さんを失おうとしている花桜。


花桜のことを思うと心がギューっと締め付けられて、
どうしていいかわからなくなる。


だけど……、私には何の力もない。



……あぁ、舞ちゃん……どうしてこんな重責、私に託すかなー……。


言葉にして吐き出しても仕方ないと知りながら、
吐き出さずにはいられない。



「舞、こんなとこに居たのか?」


そう言って私の傍に近づいてきて声をかけるのは、
忘れちゃいけない、沖田総司としてこの世界で生きてる、山波敬里【やまなみ としざと】。

私たちの幼馴染。