「お薬で今は眠らせました。
 何か過度にストレスがかかってしまったのかも知れませんね。
 
 今日はこれ以上の面会はご遠慮ください」


ある意味のドクターストップで、私は病棟を後にした。


何時ものように接触者検診を受けて、病院を後にする。



花桜の家に戻るのも辛い。
かといって、総司の傍にも居られない。


ふらふらと病院から近所の公園へと向かうと、
池の傍のベンチに座って、池で泳ぐ鯉を見つめる。



ふいに、空が真っ黒になってゴロゴロと雷が鳴り始める。

ベンチに座ったまま空を見上げると、
大粒の雨が掌をはじめとする周辺を濡らしていく。



慌てて私は今朝、お百度を踏んだ神社へと雨の中急ぐ。


時折、稲光と共に天に轟く雷の音を聞きながら、
本殿の前で、願い事を祈り続けた。




私たちが幕末に行った時も雷が鳴った。
そして私たちが、この世界に戻った時も雷がなった。


雷が……あちらとこちらを、何かしら繋ぎ導いてくれるそんな気がして。






すると背後の方で、一際大きく雷が鳴り響き落ちる。
神社に植えられた杉の木が、真っ二つに裂けるのが視界に入った。







鳴神様……、どうか私の願いを運んで……。
あの世界で必死に生き続けると友の元へ。