約束の大空 3 ※ 約束の大空1&2の続編。第四幕~(本編全話 完結)



「瑠花ちゃん、大変だったね。
 孫はまだ幕末じゃよ」




孫はまだ幕末だよ。



その言葉に私が薄らいでいく感覚が、
私の生き続けた現実だったのだと取り戻すことが出来た。




「驚いたかい?
 ばーさんや、今、瑠花ちゃんが戻ってきて訪ねてくれたよ」



そう言うと丸い鏡を手にした花桜のお祖母ちゃんが、
ゆっくりと顔を上げて私を見つめた。



「お帰りなさい。
瑠花さん、いろいろと大変だったね。

 花桜を助けてくれて有難う」


そう言ってお辞儀をした。




「どうして私たちが幕末に居たことをご存じなんですか?」


そう問いかけると、花桜のおばあさんは手招きをして私に鏡を見せてくれた。




そこに映し出されるのは、
今も幕末で戦い続ける花桜たちの姿。




「花桜っ」




そう、あの場所に私も総司も合流予定だった。


鳥羽伏見の戦いが今、火蓋をきろうとしていた。






「ばーさん、花桜と敬里を頼むよ。
 わしは、少し瑠花さんと出かけてくるよ」



そう言うとお祖父さんは私に
「会わせたい人がいるんじゃ。少し付き合ってもらえぬか」っと私を手招いた。



お祖父さんが手配したタクシーにのって、
向かったのは病院だった。




お祖父さんはその病院の中に入って、
面会の手続きをとるとエレベーターに乗り込んで7階のボタンを押す。


上昇していくエレベーターが浮遊感と共にとまってドアが開く。