新選組を抜け出してしまった山南さんを追いかけたいと願ったときも、
丞は私を助けてくれた。

私が自信を失ったとき、いつもさりげない言葉で力をくれたのは、
紛れもなく、この目の前にいる丞。


「……丞、有難う……」

普段は照れて言えない言葉も、
今日は何故か、言いたくなった。



「何言うてんねん。
 花桜ちゃん、疲れて熱でも出てしもたんか?」


そう言ってすぐに私の額へと手を伸ばしてくる。


「あぁ、ちょっと頬も赤いなぁー。
 熱もあるかなぁー」

「えっ?」


慌てて熱の言葉に、ワタワタしてる私を丞はギュっと抱きしめてくれた。



「何度でもいうたる。
 何処におっても、花桜ちゃんのピンチには、わいが絶対助けたる。

 だからそんな不安な顔したらあかん」



「山波隊士、山波隊士はいるか?」


ふいに私を呼ぶ声が聞こえると、丞は「ほな、お仕事頑張りや」っと笑ってすぐに暗闇に紛れてしまった。


「はいっ。ここに居ます」

わざと大きな声を出して、私を探しに来た人の前へと姿を見せる。

「戦況説明と、これからの戦いの作戦を説明したいと副長が顔を出された」


「わかりました。
 すぐに行きます」


そう言うと、私は慌てて土方さんが来ているところへと足を進めた。
そこには新選組の主要幹部が姿を見せていた。