何で、皆、バカなのよ。
この戦いに意味なんてないのに。

あんなに必死に戦って、負傷して、命をかけて……。
だけど……意味なんてないの。



この戦いの未来は決まってる。
変えることのない未来、変わることのない未来。





ごめんなさい。
貴方たちを、再び戦いに巻き込んで……。




そんな罪悪感をも抱きながら、
ただ無心に素振りを続ける。

唇を噛みしめながら。





「舞……、舞っ……」


何時の間に隣に姿を見せた、斎藤さんが私の義務的な素振りの動作を遮るように割って入ると、
動きが止まった私の傍へと近づいて、口元へと指を添えた。



斎藤さんが拭ってくれた指先には、血がついていた。



「あっ……すいません。
 私……」



慌てて手ぬぐいをポケットから取り出して、
斎藤さんの指を拭った。



「舞は、この先の未来を見ているんだな。
 だけどそんなに、唇を噛みきるまで自分を追い詰めるな。

 俺達は、この先、ずっとずっと追われ続けるんだな。
 だが、それも時代の流れなんだろう。

 自分を責めるな。

 こうやって、再び、この時代を訪れるほどに、
 お前が思ってくれている。

 俺は……それだけで充分だよ」


「斎藤さん……」




斎藤さんが告げた言葉に、私は思わず、彼の瞳を凝視する。