ねぇ、総司。
貴方は今、どんな夢を見ているの?




その夢の中も、決して楽しい時間ではないのかもしれない。





「魘されておるな」


そう言うとお祖父さまは、逆サイドに立って、総司の顔を優しく手のひらで撫でる。



「敬里、今はゆっくりと休め」


何度も何度も、暗示をかけるように頬に触れながら声をかけ続けた。








今の総司には、幕末で何が起きているかなんて知らない。

井上さんが壮絶な死を遂げたことも今はまだ知らない。






総司に伝えるか、否か。
私の中で大きく湧き上がってくる問題。





総司、ごめん。
私は総司に生きて欲しい。



私の我儘だって知ってる。
その事実を遅れて知らされた総司が、ショックを受けることも知ってる。



だけど今は……話さない。