私はその場からゆっくり、隊士たちが手当てされている場所へと足を向ける。
「はいっ。これでぎゅーっと止血して終わり。
傷口は消毒しておいたから、あとは、この薬を飲んでね」
そうやって声をかけながら、花桜は次から次へと負傷した隊士たちの対応を続けていた。
「花桜、お待たせ」
「舞も合流したんだね。無事でよかった」
そう言って、花桜は私の体をギュっと抱きしめる。
だけど、私を抱きしめた花桜の腕には血を滲ませた包帯がまかれていた。
その傷口に視線を向けて、私は唇を噛みしめた。
伏見奉行所から堀川。
そして中書島。
一日目はの戦いは薩摩軍に負けてしまったけど、
二日目の戦いでは、徳川の旧幕府軍の方が強かった。
フランスの軍隊指導を受けた、伝習隊との連携で
一度奪われた場所も奪い返すことが出来た。
だけど……私たちが戦っていた所以外で徳川は敗北して、
私たちも撤収するしかなかった。
そして今、またチャンスを棒にふろうとしてる。
何時まで、徳川の御威光があると思ってんのよ。
くそ、バカ。
本当に大声でそう言って叫んでしまえたら、どんなに楽だろう。
そんなことで、敗北しようとしている歴史が帰られるなら、
私の命なんて……。
だけどそれもまた、禁忌なのだと言うことを私の理性が知っている。
「舞、大丈夫?
何かあったの?少し怖い顔をしてる」
気遣うように声をかけた花桜は近くの隊士に声をかけて私を連れて、
二人話が出来そうな場所へと誘導した。
そんな花桜の包帯が再び視界に映って、私は現実へと意識を戻した。



