その日が近いことは、
鏡が映し出す世界を見て知っていた。


その時が来ても全てを受け入れられるように、
何度も何度も自分で言い聞かせて来た。


少しでも花桜たちの世界の情報が知りたくて、
あの後も図書館に通い続けた。




花桜たちの影響で誰にも知られない間に、
ひっそりと変わってしまっている歴史はないか……。



何度も何度も借りて読み返した持ち出し不可の本を、
借りては、その頁をめくり続ける。


そして……土方さんの辞世の句とされている
言葉を思い出す。





よしや身は
蝦夷の島辺に
朽ちぬとも
魂は東(あずま)の
君やまもらむ




たとえ身は
蝦夷の島辺に
朽ちぬとも
魂は東(あずま)の
君やまもらん






この二つは土方さんの辞世の句とされていた有名なもの。


どっちも……例え私が蝦夷の地で明日死んだとしても、
魂は東に居る君を守るでしょうって言うような内容だった思うんだけどな。



だけど最近、島田魁さんが書き留めてたとされる、
もう一つの辞世の句も見つかったんだったかな?



視線を落としていた書物から少し離れて、
別の本を探しに書庫へと移動する。



そして一冊の本を手にして、
そっと開く。