「おいっ、お前ら少し休憩だとよ」


徳川の指揮官からの伝達を受けて、
土方さんは私たちの進軍を舌打ちしながらも足止めした。


「副長。
 今、休憩ですか?確かに、隊士たちは皆、疲弊しています。
 負傷しているものもいますが、今、追撃をして勝機を掴むのも……」


そう言って、口々に思いを告げる隊士たちを見つめながら、
土方さんは「お達しなんだよ」っと言い捨てて、不機嫌そうに何処かへと姿を消した。


「皆の気持ちも良くわかる。
 皆と同じ思いで一番いるのは、副長自身だと言うことを忘れないでくれ。

 叶うものなら、闇に紛れて追撃をし奪還のチャンスを掴み取りたい。
 だが……刀と槍だけの我らだけで動いても、勝機はないだろう。

 それもまた事実。
 皆も今は耐えて、次の指示に備えて体を休めてくれ」


土方さんのフォローをするように斎藤さんは言葉を添えて、
私の方へと視線を向けた。


「舞、大丈夫か?」

「大丈夫。少しだけ弾がかすりそうになったけど無事だよ」

「山波は?」

「花桜は多分、負傷者たちの手当ての手伝いに行ってるかも。
 私も今から、合流しなきゃって思ってるんだけど」

「舞、決して無理はするなよ」


斎藤さんは私に言い聞かせるように言葉尻を強く言った後、
何処かへと移動した。