雪が解けて新政府軍との戦いが本格的になった新緑の季節。


ここ蝦夷地には沢山の新政府軍が上陸しているようで、
毎日のように沢山の場所で戦が続いていた。


連日のように榎本さんの元に報告されてくる戦状況は、
どれも負け戦を告げるものばかり。

私は舞と共に、ここ五稜郭で家事や炊事を手伝いながら、
負傷兵たちの手当などをしながら過ごしていた。

そして今日も、ビールを嗜む榎本さんの傍、
戦況報告にくる言葉に聞き耳を立てながら拭き掃除を続けている私が居た。


「山波君、いつも君の働きには感謝しているよ。
 土方君が心配かね」


そう言いながら自慢の髭に手を伸ばしながら、
ビールを片手に私の方に近づいて来た。


「心配と言えば心配ですが……、
 信じていますから」


私は榎本さんの問いかけにそう答えた。