私が蝦夷の地で花桜と再会して暫くの月日が過ぎた。
雪が少しずつ薄らいでいくのがわかる。


この極寒の地に春の香りが近づきだす頃、
土方さんや花桜たちの新たな戦いが始まった。


それは土方さんを訪ねて来たある人の存在から始まる。


新政府軍の軍隊が南部宮古湾(岩手県宮古市)に入港していると言うものだった。
そしてそこには甲鉄艦が存在している。


その船の名は、ストーンウォール・ジャクソン号。

本来は幕府軍がアメリカから購入を決めた装甲艦で、
戊辰戦争が始まったが故に、引き渡しが保留となっていた船だった。


急遽、その船の奪取作戦が行われることとなる。


「今回の目的は幕府の船となるはずだった甲鉄艦を奪取することである。
 回天、幡龍、高雄にそれぞれ乗り込み、宮古湾を目指す。

 接舷(せつげん)後、船を接近戦で制圧する。
 各自、準備を怠るな」


奪取作戦を前に指揮が高まっていく兵士たち。

慌ただしくなっていく様子に私と花桜はいつもと変わらない生活を続けながら、
今を見つめていた。