「失礼します」

「あぁ、入れ。山波」

「榎本さんがお呼びですよ」


そう言った私に、土方さんは深く溜息を吐き出した。



「ったく、何浮かれてんだよ。
 榎本さんは……。

 まだ早いだろ」


そう言って、2度目の溜息をついた。



「今日はお部屋で休まれていたと伝えておきます。
 ですが、たまには顔を出してあげてくださいね。
 
 榎本さんが、土方さんを頼りにしてらっしゃるのは、
 確かなようですから……」


そう言うと土方さんは、「あぁ」っと小さく告げて、
また地図を見つめ始めた。






寒さの厳しいこの場所で、
新たに平定された蝦夷共和国。



だけど、この場所も長くは続かない。







舞……、瑠花……
二人は今頃どうしているの?



私は暖炉の火を見つめながら、
大切な親友(とも)を想い続けた。