私は若松城内で一人、
壁に持たれながら懐に小さく折りたたんで片づけていた
花桜からの手紙をゆっくりと開く。





舞へ

私、土方さんと箱館まで行くね。
舞は多分、会津で斎藤さんたちを見守りたいと思うから。

ここからは別行動。

でも私……箱館で舞を待ってるから。


また会おうね。
二人でちゃんと向こうの世界へ帰るんだからね


花桜





そこには見慣れた花桜の文字。


だけどずっと文字書きに苦戦していたのに、
ずっと過ごしてきた年月を感じさせる慣れ感が伺える。


現代も習字の授業では筆を持つ機会はあったけど、
やっぱり幕末に来て同じように筆を持っても上手くは使いこなせなくて、
何処かぎこちない文字になってしまってた。

この場所に来て長い時間が過ぎたんだなーって、
しみじみと感じずにはいられない。



花桜、今頃土方さんとどうしてるんだろう。
舞ちゃんの記憶でもこの辺りはあてにならないんだよね。


箱館て待ってるから。



そう記された花桜からの手紙には、
私と同じように知識で箱館戦争も負けて、花桜が行動を共にしている
土方さんが銃に倒れる未来が待っていることも知ってる。


舞ちゃんが、この時間を繰り返してしまった何かが、
箱館にはあるんだ。


その出来事と向き合ったとき私はちゃんと今、
自分の中で決めている想いを告げることが出来るのかな。


花桜が土方さんと北に向かった後も、
ここ会津では戦が続いていた。



……多分、近くないうちに会津も降伏する……。