「わかったよ……。
 俺たちは、こうやってまたお前たちを戦に巻き込み続けるんだなー」

そうやって吐き出された土方さんの言葉。
罪悪感なんて抱く必要なんてないのに。

今は私が勝手に居たいだけなんだ。

山南さんが旅立って、丞が消えて……、
心がどうしようもなく寂しくなった時も、
土方さんは私を見守ってくれていた。

その不器用な優しさを知っているから。
だから私も精一杯の恩返しをしたい。

ただそれだけなんだから……。



「なら支度をしてこい。
 準備が出来次第、すぐにでも出発する」

「はい」




私は土方さんに一礼をして、桶を手にして救護所の方へと水を運ぶと、
その足で与えられている部屋へと移動する。

旅支度を手早く済ませると、舞宛に置手紙を残す。





舞へ

私、土方さんと箱館まで行くね。
舞は多分、会津で斎藤さんたちを見守りたいと思うから。

ここからは別行動。

でも私……箱館で舞を待ってるから。


また会おうね。
二人でちゃんと向こうの世界へ帰るんだからね


花桜






何時までだっても書きなれない筆と格闘しながら、
手紙を書き終えると、懐かしい向こうの世界の便箋の折りたたみ方で、
舞への手紙を支度すると、舞の荷物の傍へとそっと置いた。



行ってきます。



心の中、そう言って私は静かに部屋を後にした。
外へ向かう途中、舞が斎藤さんと親しげに話しているのが視界にとまる。


舞、元気になって。
斎藤さん、舞を宜しくね。


そんなことを考えて祈りながら、私は土方さんたちが待つ場所へと向かった。