「俺の存在がお前の役に立つなら、
 なんだって受け止めてやるよ。

 受け入れてやる。

 好きな女守れるなら本望だよ。
 ずっと前から、舞……お前だけを見てきたんだ。

 だから、もう罪悪感なんて感じるな。

 一人で頑張るな。
 もう……俺が一緒に隣を歩いてやるから。

 俺が……お前を必ず守ってやっから」



私が敬里へと自分の秘密を打ち明けて、
敬里から告白された翌朝、私たちは保存食らしい開発中の硬いビスケットを手に、
母成峠へと移動した。



私たち新選組は大鳥圭介さんが率いる伝習第2大隊と共に、
間道から勝岩の守備を任されて布陣した。


朝のうちから始まった後の世で言う、
母成峠の戦いは圧倒的な兵力の差で次々と私たち旧幕府軍が守る陣地が
抜かれていった。

次々と敵の侵入を許し、銃撃戦と大砲の撃ちあいが続き、
夕刻には本栄が炎上したとの一報が入る。

その知らせが入ると、味方兵たちは命からがら、
散り散りになって猪苗代方面へと逃げることになる。


その途中……敬里が私をかばって銃弾を受けることになるなんて、
私は思いもしなかった。


こんなにも早く……覚悟を決める時間もないままに、
その時が来るなんて……。





私を庇うように、私を抱くような形で飛び出してきた敬里。
その直後、敬里の体が銃弾を浴びて跳ねるのを感じた。


「敬里っ!!加賀」


斎藤さんの声が、少し遠くに聞こえた気がした。