「パパ、ママ、ずっと黙っててごめんね。
今から私が話すことは、凄く非現実的なこと。
だからこの場所じゃないと、自宅では話せなかったし、
話すことを決断するにも凄く勇気がいるし時間がかかることだったの。
まずパパもママも見てると思うけど、
この鏡は山波家の家宝の鏡。
花桜のお家は新選組の山南敬助さんの家系なの。
っと言っても、それを示すものは、
家宝となってる、明里【あけさと】さんが愛用していた鏡と、
山南さんが使っていた刀・沖光と対になる刀の存在のみ。
花桜は、この夏、家宝の沖影を継承したの」
パパとママは、突然紡ぎだされた新選組の名前に、
驚きを隠せないようだった。
「今年の夏の高校総体。
私は花桜と舞の試合を応援しに出掛けたでしょ。
あの日から私の異変は起こり始めたの。
試合が終わった帰り道、雷がゴロゴロなり始めて雨が降って、
空が割れて雷が落ちた。
私と花桜、そして舞が辿り着いたのは幕末の時代、文久2年だった」
そう幕末の時代。
そして……その場所で私は、この総司に出会った。
「初めまして。
この場所では、山波敬里と名乗るべきか、
ぼくの元の名を名乗るべきか悩みますね……。
ぼくの名は、新選組一番組組長・沖田総司。
瑠花さんと共に、幕末からこちらの世界へと来た際、
山波敬里の名を抱いた存在です。
瑠花さんのお父様には、病院で大変お世話になりました」
私の隣で、背筋をただした総司が静かに口を開く。
パパもママも驚きを隠せないみたいで、
お互いの顔を見合わせていた。
「岩倉さん、驚くのも無理ありませんよ。
いきなり幕末だ、新選組だと言われても、
鏡に映る娘の姿を見ても、私たちも信じられませんでした」
そう言って花桜のお父さんが口を開く。
「パパ、ママ、ごめん。
でもこれで、私がどれだけ話ことに悩んでいたかわかって貰えると思うの。
時間軸的にはどうなってるかわからないけど、
私と花桜と舞と一緒に、あのインターハイの帰り道、文久2年へと飛ばされた。
私と花桜が辿り着いたのは京で、舞は長州に辿り着いてしまったみたい。
その時、花桜を助けてくれたのが、そこにいる今は記憶をすべて失ってしまった山崎丞さん。
今は山波敬丞さん。
そして私に日本刀を突き付けたのが、そこにいる総司なの」
「瑠花、確かにぼくが日本刀を突き付けたのは否定しませんが、
もっと易しい言い方があるんじゃないですか?
ほら、瑠花のお父様とお母様に、ぼくが睨まれるじゃないですか」
いつものノリで私に切り替えしてくれる総司に、
ちょっとホッとする。



