約束の大空 3 ※ 約束の大空1&2の続編。第四幕~(本編全話 完結)



会津での生活がはじまった私たち。

負傷している隊士たちは会津藩の計らいもあり、
治療に専念し動けるようになった隊士たちは、来るべき戦に備えて準備を始めていた。


敬里の体調は、相変わらずすっきりしない。


時折、咳き込んでいる様子をたびたび見かけるものの、
私が近づくと、笑顔で「どうした?」なんて切り返す。


「ねぇ、敬里。
 アンタ、そんな咳き込んで血とか吐いてないでしょうね」


まさか……とは思いながら、沖田総司としてこの世界にタイムワープしてしまった敬里だから、
そんなことも危惧してしまう。


「血?
 んなもん、吐いてねぇょ。
 沖田総司じゃあるまいし。

 舞は心配しすぎなんだよ。
 ただ風邪がすっきりしねぇだけだよ。

 この薬の世界は不味いし、あっちみたいに快適に過ごせないからなー。
 っと、お前ら、良くこんな世界で数年間も生きてきたよな。

 あぁ、せめてこの喉のイガイガが少し落ち着きゃー、気分も楽になるんだろうけどな」


なんて敬里は言いながら、部屋から外へ視線を向けた。


敬里が視線を向けた先には、西洋銃の取り扱い方を訓練している風景が視界にうつる。

なんでも女性でありながら、銃に明るい人もいるらしく、
この地に居る女の人たちは、凄く輝いて視界にうつる。


「ねぇ、私も西洋銃、学習してみようかな?」

「はっ?
 んなもん、舞がやんなくてもいいだろうよ。

 やるなら……俺だろ。それは?」


そう言いながら、敬里は自分の掌をじっと見つめ続ける。




「ずっと、こんな世界、偽りだったらいいって思ってた。
 だけど……、夢じゃなくて、こっちが今の現実なんだな。

 斬った、撃ったが日常茶飯事。
 毎日、誰かの血が流れて、毎日、誰かが負傷して……。

 俺が今生きてるのも、この体の中に赤い血が流れつづけてるのも、
 奇跡に近い出来事なんだなって思ったら……、向こうで俺がどれだけ流されて生きていたかを
 思い知らされた。

 って、なんかドン暗くなっちまった。
 まぁ、舞のことは俺がサポートしてやるって言ってんだ。

 お前は、お前がやりたいように斎藤さんと走り続けろって」


「んっ、もうっ。
 アンタ、いっつもそればかりなんだから」


憎まれ口っぽく言わないと、敬里の優しさに泣いてしまいそうだから、
私はあえて突っぱねるように声を紡ぐ。