「ほらっ、たんとおあがり」


そう言って促されて手を伸ばす緑茶。
一口、口に含むと、ふんわりと香が広がって、体の緊張が緩んでいくのがわかる。

緊張してたんだ……私。


ぬくもりを噛みしめるように、もう一口、口に含んでゆっくりとお盆において総司を見つめると、
総司は嬉しそうに、みたらし団子に手を伸ばしていた。



「この世界にも、お団子はあったんですね」

「うん。
 美味しいものはちゃんと、守られてるんだよ。
 
 それに大切な心も、受け繋がれてる。
 だから……後悔のIFに、苦しまないで……。

 この世界のどこかに、ちゃんと……感じられる場所が存在するはずだから」



そう……。
偉人たちが生きた証は、この現代に遺されてる。



そういう場所を辿っていけば、今の総司の心に深く残る後悔のIFが、
浄化する、そんな時も来るかもしれない。



そんな風に感じた今日。
また私にとっての新たな『IF』が心の中に芽生えた。