流山の地で近藤さんが捕らわれる道を選んだ。

土方さんが真っ先に取った行動は、
近藤さんの助命を乞うことだった。


自ら私を乗せて早馬を駆りながら向かった先には、
勝海舟の元。


土方さんは勝海舟の元へと急がせると、
面談の場へと出かけて行った。


私は一人、土方さんが戻ってくるのを待ち続ける。



あの日、土方さんと共にに出てきた新選組の隊士である、
島田魁さんたちは今、土方さんより何かを命じられ別行動をしている。


勝さんとの面談が終わって姿を見せた土方さんの顔色は、
土気が引いたように思えた。



「土方さん、勝さんとの面談はいかがでしたか?」


恐る恐る告げると、土方さんは静かに目を閉じて空を見上げた。


空はどんよりと曇り、今にも雨が降り出しそうで、
今の土方さんの想いを映し出さそうとしているようにも思えた。


「出来るだけのことはしてもらえる様に頼んできた。
 だが……言われたよ。

 土方、せっかく来てもらったが、もう遅いだろうよって。

 もう遅いだろうよって、なんだよ」


悔しそうに、そして吐き出すように声を絞り出すと、
行き場のない思いをぶつけるように、そばにあった壁へと拳をつく。