地塗られた探検家

門を越えると荒れて色を失った庭が広がる。
紙は風で柵を越え、この庭に落ちた。

しなしなの雑草や枯れたツタが茂るこの庭から落ちた紙を探さなければならない。無雑作な庭を見て私が億劫になっている近くで

「どこあたりに落ちたかなぁ……?」

と有理華は頭をかいて考えている。

「私たちがいたところからそのまま飛ばされたから、その手前から奥に向かって探しましょう」

文華の考えを聞いて、まずは私たちがいたあたりから探すことにした。
柵のすぐ下にはやっぱりない。私たちは草をかき分け足元を見つめ、風を追いかけるように奥の方へ探していく。そしてある程度奥に進んだ時、

「あったわ!」

文華が草の上に紙を見つけ指差した。

「よかった〜!」

有理華が喜び、私も安心した時、

「あっ!」

文華が手を伸ばしたその時、吹いてきた風に紙が乗せられグルグルと上がる。紙は洋館の二階の開けっぱなしの窓に飛び込んでしまった。

「うそでしょ……」

文華はかなりのショックで青ざめ、私も有理華も立ち尽くす。
せっかく勇気を出して見つけたのに。あれを自分で書いた文華はなおさらショックだと思う。

「ふ、文華、大丈夫っ……!?」

有理華は文華を心配して歩み寄る。

「ごめんなさい、二人とも。せっかく見つけたのに。これ以上は申し訳ないから私一人で行くわ。待っていて」

文華は頑なな様子で、私たちを置いて歩き出す。
そこで有理華が

「ここまで来たら一緒に入って探そうよ!私も文華の書いた小説読みたいもん!」

気持ちの強い口ぶりでついて行った。
私もそう思っていたところだ。

「入る前はめちゃくちゃ怖かったけど、庭に入ったらなんだか普通になってきちゃった。私も行くよ」

文華はいつもの顔色になり、驚いた顔で私たちの顔を見る。

「……本当にありがとう。ええ、絶対見つけましょう」

そして私たちは足並みを揃え洋館の入り口に立つ。

「よし、入るよ」

私の声で、一番前の文華は古い木のドアを開けた。