「小説の序章なんだけど、読んでみて」


「新作!?どれどれ、楽しみ~」


「私も~」


帰り道、進藤 文華(しんどう ふみか)から紙を受け取った。
文華はネットに小説を投稿している。同じクラスの友達である私たちは、他のファンより先に文華の小説を読めるのだ。


「ホラーか……いつもは感動系だから、新鮮だね」


題名を見た籠見 有理華(かごみ ゆりか)が言った。


「『血溜まりの朝日』……、学校で耳袋をするんだね」


私、瓜古 南(かこ みなみ)は小説を読み進める。
耳袋を始めた六人が、実際に怪奇現象に巻き込まれる話だ。


「今は物が落ちるとかだけど、題名からは誰かが死にそうな感じがするよ……怖いなあ」


「ふふっ、どうなるでしょうね。皆助かるかは……完結をお楽しみに」


文華は煽るように笑って、有理華が、気になる~と言って紙を返そうとした時だった。


「きゃっ!」


強い風が吹いて、紙が吹き飛ばされた。


「どこに飛んでった!?」


有理華が周りを見回す。
私が右を向くと、見つけてしまった。


「あれ……」


私が指差した方には、古い洋館に落ちた紙があった。