「ってぇ…」
「触らないで!」
叩かれると思っていなかったのか、きょとんとした顔の拓夢の手は宙をさまよっていた。
叩くつもりはなかった。
でも、眼鏡を取られたらきっとすべてバレる。
今まで作り上げたものがきっと終わってしまう。
…守らなきゃと思った。
峰山桜も、山本桜も。
約束のために。
約束のために、私は生きてるんだ。
何が、峰山桜の前でも笑ってくれなくなる?だよ。
そんなこと、思ったらいけないのに。
少しでも考えた自分が情けなくて、許せない。
しばらくの沈黙の後、溜め息が聞こえた。
「……、お前さ。
ちょっとは可愛くなりたい、とか思わないの?
叩くなよな、仮にも俳優の手を」

