「いや、なんか、俺一応俳優だし、今までこの高校の奴ら媚びてくる奴ばっかりだったから不思議で…」
拓夢は早口で慌てたように言った。
暑いのか、手でパタパタと顔を仰いでいる。
「……」
調子くるっちゃうよ。
拓夢って、こんな明るい人だっけ。
こんな、普通の高校生変わらないような反応する人だっけ。
私が知ってる拓夢は、無表情で無口で、冷めたような目をしてて。
でも仕事は熱心なんだ。
前にヒロトをスタジオで探していたときに、ひとりで練習していたのを偶然見かけてしまったことがあった。
すごく、真面目な人なんだと思った。
想像もつかないくらい努力して今の自分を手にしたんだと思う。
「だから、何でかな、と。
俺ナルシストじゃねぇからな!」
なのにそんな人が私なんかに弁解するためにこんなに必死になるなんて。
「っ!あはは!」
「おま…っ!なに笑ってんだよ!!」
ムキになってる拓夢が新鮮で、笑えた。

