「ま、認めてもらってよかった。」 「うん、だね。」 笑ったら、口から白い息が出た。 ポケットの中の手が、温かい。 「眼鏡、伊達?」 「いや、度入ってる。 もともと少し目が悪いんだ」 「そうなんだ…」 「眼鏡、似合ってる?」 「でた、ナルシスト」 「ナルシストじゃねぇし!」 「あははっ」 本当は、初めて見た眼鏡をかけた姿にときめいてしまったなんて、絶対言ってあげない。 「拓夢、こっちだよ。 バス乗るから。」