「遅ぇ。」


「ごっ、ごめん!」



今日は、珍しくふたりともオフだった。



季節はもうすっかり冬で、マフラーを巻いてしっかり防寒する。


「ほら、手。」


冷たくなった私の手を、拓夢は自分のポケットに突っ込んだ。




私は、ニット帽を深くかぶって。

拓夢は、黒縁の眼鏡をかけていた。



一応、簡単に変装してるつもり。

今日行く場所は人通りが少ないから大丈夫だと思うけど。




「ヒロトさん、驚いてた?

俺らが付き合うこと。」


「んー。なんか、うすうす気付いてたみたいだよ」


良かったなって、笑顔で祝福してくれた。