「おお、やっと2人とも揃ったか!
俺は監督の伊藤だ、よろしく。
2人が共演するのは初めてだよな?仲良くな!
あ、ヒロト!すぐにカメラの準備してくれ」
「はい。じゃ、頑張れよ桜!」
「え、ちょっ待っ…!」
見事に私をスルーしたヒロトは監督に連れられてスタジオの奥に消えていった。沙織さんも後に続いて歩いていく。
残された私。
そして私の後ろには
立ち姿も様になる人気俳優
木原拓夢。
なんで木原拓夢が!!
おそるおそる振り返ると何故か呆然と私を見ている木原拓夢。
「…あの、初めまして。
峰山 桜です」
一応、礼儀だし。
こういうことか。さっきヒロトが言っていたことは…
「…っ、はい。こちらこそよろしくお願いします。」
そう言って慌てた様子で手を差し出した。

