お兄ちゃんが所属していた事務所は、叔父さんが経営しているところだった。
私は、叔父さんに必死に頼み込んだ。
お兄ちゃんは、海外に行ったことにしてください、と。
そうしたらせめて、メディア上でだけでも、生きている元気なお兄ちゃんが見れるかもしれないから。
死んだ、とマスコミに知られたら、テレビでたくさん取り上げられるだろう。
認めたくないの。
お兄ちゃんがもう、いないなんて。
お兄ちゃんを死んだことになんて、しないで。
私は、まだ受け入れられないの。
そして、叔父さんの力で、山本隼人は静かに芸能界から消えた。
ごめん、お兄ちゃん。
そして、それから私は必死に自分を磨いて、やっとの思いで今の地位に登り詰めた。
でも時々、思うんだ。

