ゴォォォォ― 「うわっ!」 「…っ」 あまりにも強い風に、二人とも目をつむった。 暗い、静かな屋上に 強い、強い風が吹いている。 まるで 私の心の中のように 終わりの見えない真っ暗な闇の空間の中で渦巻くモヤモヤのように、真っ暗な空に強い風が吹いた。 眼鏡、飛んじゃう! 私は必死で眼鏡を手で押さえた。 その瞬間 白い小さな何かが、拓夢に向かって飛んでいった。 そしてその後すぐに、なぜか風はピタリと止んだ。