「なんでそんな話、私なんかにしてくれたんですか?」 だって、拓夢は今の私を“山本 桜”だと思ってるんでしょ? なんで、こんな地味な私に…? 「なんか、似てんだ。 俺の好きな人に。 雰囲気も、声も。」 「………っ!」 拓夢は、笑った。 峰山桜にだけ見せる笑顔で、私に。 山本桜に。 驚きで目を見開いた瞬間 強い風が吹いた。 この風が、私の運命を変えるとは… 思いもせずに。