あまりにも一瞬だったから、それがキスされたと理解するのには時間がかかった。
やっと理解したと思えば、大野くんはもう花火に目を向けていて、
私の妄想?だなんて思ってしまう。
でも唇に残る、確かな温かさがそれを現実だと教えてくれる。
花火が私たちを照らす度に、私は自分の頬の赤さが目立つのを気にし、少しだけ距離をとる。
だ、だって実は、…実は、ファーストキスですだなんて絶対に言えない。
なんで私にキスしたのか分からないけど、うるさいだか何だか言ってたから、黙らせるための手段だろうか。
だとしたら大野くん相当だよ。
せっかく花火が打ち上がってるのに、私はそれどころじゃなくてずっとドキドキしていた。
