*Ria side*
走り終わって応援席に戻ってきた大野くんにクラスのみんなが駆け寄る。
"すげぇよ、お前!!"と男の子は騒ぎ、女の子は"かっこいい!"と騒ぐ。
大野くんはそれを無視して、まっすぐ歩く。
そして、
「おい。」
私の前に立った。
「え、な、どうしたの?」
「どうしたの、じゃねぇよ。それ、俺のだろ。」
と言って大野くんが指差したのは私が握りしめていたスポーツドリンク。
っは!そうだった、大野くんに渡そうと思って…。
「あ、ごめんね。はい!おつかれさま!」
「ん。」
ゴクゴクとスポーツドリンクを飲む姿でさえもかっこよくて、…目を離せなくなる。
だめ、かっこよすぎる。
鼻血出そう、と鼻を抑えると、
「お前のためだからな。」
と意味不明な言葉を残し、大野くんは如月くんの元へ行ってしまった。
…お前のためだから、ってなにが?
よく分かんないけど、まぁいっか。
