大野くん、私のこと好きになってください!


急いでバトンを拾い、走り出すけど、葵先輩は10mほど先に走っていて、もうバトンを落とした時点で俺のクラスは負けなんだからいいかと思ってた。



でも頭にちらつくのは、



『大野くん、頑張ってね!!』



『大野くん、あの…かっこよかった、すごく。』



なぜかあいつで、このまま負けてたまるかと葵先輩に追いつこうと走る。



なんでか分かんないけど、このまま負けたら梨愛をとられるんじゃないかって思って、ってなんだよ、これ。



こんな気持ち俺知らねぇし、なんであいつが頭に浮かんだのかも分かんねぇけど、



負けたくないという思いだけが俺の体を動かした。