「葵先輩。」
「大野、やけに気合い入ってるな!」
「それは先輩こそ。」
めちゃめちゃかっこいいシューズ履いて、いつもは目が隠れるぐらいの前髪も横に流して。
「まぁ、俺は…。」
葵先輩はそう言うと、俺らのクラスの応援席に目を向ける。
その視線の先には、
「梨愛…?」
「ってことで、正々堂々と勝負だからな?」
「は?いや、俺は、」
あいつのことなんてどうでもいいし。
むしろ最近またしつこくなってウザいぐらいだし。
いつも『大野くん、好きっ!!』って無邪気に笑ってくるあんなやつなんか、好きじゃ、
「好きじゃないなんて言わせないけど?」
「…っ!」
心を読まれたように思っていたことを言われ、驚く俺に、
「お前になんか渡さないから。」
葵先輩は俺を睨んだ。
