その盛り上がりの正体は、大野くんが山口くんを抜いて1位になったことで、そのまま大野くんはゴールテープを切った。



ゴールでは悔しそうに肩で息をする山口くんと何もリアクションをせず去っていく大野くん。



私は大野くんに言いたいことがありすぎて、応援席まで走った。



「っはぁ、大野くん!!」



応援席では既に大野くんは椅子に座っていて、スポーツドリンクを飲みほしていた。



「大野くん、お疲れさま!かっこよかったです!あの、走ってるとこ、すごく。」



「…っ。なにいきなり。」



「また惚れ直しちゃった。」



あぁ、走った後の大野くん、顔が赤くて勘違いしそうになる。



私の言葉に照れてるんじゃないかって。



「障害物競走に出場する選手はスタート位置に集まってください。」



タイミング悪く聞こえた放送に、私が歩き出すと



「梨愛。」



やけに優しい声で大野くんは私を呼んで、



「1位だったら、ご褒美考える。」



「ほんと!?」



なんだか力が湧いてくるから不思議なもんだ。