「遅い。」



前髪をちょんまげにしてるせいか、顔が良く見える。



大野くんの不機嫌そうな顔ですら、かっこいいなんて。



「すみません、先輩、こいつ借ります。」



「え、あ、うん。先帰るよ。」



「えっ、ちょ!」



葵先輩は"じゃあまた"と手を振って玄関を出ていく。



ぼーっとそれを見ていた私は視線を感じ、ハッとする。



「ちょっと目、閉じて。」



大野くんは少し色っぽい声でそう言うから、やけにドキドキして素直に目を瞑ると



大野くんは私の前髪に手をかける。



何やってるんだろうと思いながらも大人しくしていると、"もういい"と言われ、目を開けた。