大野くん、私のこと好きになってください!


それ、って何のことだろう。



私を指さしてるんだから私の何か何だろうけど、…全くわからない。



頭をひねって考えてみるけど、葵先輩をいやな気持ちにさせることが何なのかやっぱり分かんなくて、



「それ、って何ですか?」



素直に聞くことにした。



葵先輩はため息をついて、小さく



「カーディガン。」



と呟いた。



「か、カーディガン?」



「だってそれ、梨愛ちゃんのじゃないだろ。」



「あ、これはね、滝沢くんが寒いからって貸してくれて、ってこわい!」



ひいいいいぃ!



めちゃめちゃ怒ってらっしゃる、なんでえええ!?



私ごときが寒いなんてわがまま言うな、とか?いやいや私だって寒い時ぐらいあるよ!



「脱いでそれ。」



「え?」



「いいから、脱げって。」



なかなか脱ごうとしない私についに葵先輩は自らの手でカーディガンを引っ張って私の手に渡した。