いちについて、




大きな損失感。

それはあたし達の心を最大限まで痛みつけてくる。



「なあ、夕夏。」


「ん??」



昇馬はキィキィとブランコを揺らしながら言った。



「泰知の代わりにはなれないかもしんないけど、俺お前のことちゃんと守ってくから。どこにも行くなよ。」


もし、こんなことになっていなかったら、この言葉は告白としか受け止められなかったかもしれない。



だけど、昇馬の表情や言い方や、泰知に対する思いを考えると、告白なんて言葉はあたしの頭からは消えていく。



「あたしも、昇馬が居てくれなきゃ困るよ。」



手を伸ばせば届いてしまう距離であったからこそ、お互いの体温を感じずにこういう事を口にするのも、悪くは無いと思った。



だけど、ただ一つだけ。




あたしには泰知を失ったことで考えなければならない事があった。



「あたし、陸上続けられるかな………。」



「えっ………。」