大きな損失感。
それはあたし達の心を最大限まで痛みつけてくる。
「なあ、夕夏。」
「ん??」
昇馬はキィキィとブランコを揺らしながら言った。
「泰知の代わりにはなれないかもしんないけど、俺お前のことちゃんと守ってくから。どこにも行くなよ。」
もし、こんなことになっていなかったら、この言葉は告白としか受け止められなかったかもしれない。
だけど、昇馬の表情や言い方や、泰知に対する思いを考えると、告白なんて言葉はあたしの頭からは消えていく。
「あたしも、昇馬が居てくれなきゃ困るよ。」
手を伸ばせば届いてしまう距離であったからこそ、お互いの体温を感じずにこういう事を口にするのも、悪くは無いと思った。
だけど、ただ一つだけ。
あたしには泰知を失ったことで考えなければならない事があった。
「あたし、陸上続けられるかな………。」
「えっ………。」


