昇馬の少し後ろを歩いていると、昇馬は迷いもせずにある所へやって来た。
「ここって……。」
小学生の頃、よく泰知と昇馬と三人で陸上の自主練習をしていた公園だった。
線路沿いにあって、敷地も広いから、よくここを通る電車と勝手に競走していた記憶がある。
中学も高校も、通学路から外れているここには、小学生の時以来訪れる機会がほとんどなく、疎遠になっていた。
昇馬がここを選んだ理由は、分からなくもなかった。
錆びた鎖で繋がれたブランコに、二人並んで座る。
キィキィと歪んだ音を立てるブランコは、それでも秋の夕暮れの音にはちょうど良かったかもしれない。
「今日さ、おれ一日中考えてたんだよ………、どうしてあんなにいい奴が死ぬんだろうって。」
それは、同じ気持ちだった。
神様は不公平だと喚く愚かな『悲劇のヒロイン』の気持ちが、今なら分かる。
神様は不公平だ。
泰知は『いい人』だった。
ふざけたように見えて校則はちゃんと守った髪型で前髪も割と短いし、陸上をする人って感じのツンツンヘアーだった。


